何年か前に老後2000万円問題がありましたが、条件が変われば老後の必要額も変わってきます。
「結局いくらあればいいの?」
と感じる人は多いのではないでしょうか。
そのため、老後資金は一つの目安額だけで考えるのではなく、自分の生活に近い条件で試算することが大切です。
前回は、ゆとり生活(月38万円生活)の場合のシミュレーションをしました。
今回は
節約生活(月25万円生活)
での老後資金の目安を試算します。
先に結論をいうと、年4%で運用しながら30年間取り崩す前提で計算すると、次のような結果になります。
老後開始時点で必要な資産:約1,700万円
ただし、これはあくまでも運用した場合の試算例です。
運用をしない場合と比較しながら説明します。
この記事の前提
「家計の金融行動に関する世論調査2023年(二人以上世帯調査)」によると2人世帯の金融資産保有額の平均値は 1,307 万円、中央値が330万円となっています。
今回は、より実態に近いと思われる中央値330万円をもとに試算しています。
その他の前提条件は、以前と同じように次で考えます。
- 老後は夫婦2人暮らしを想定
- 持ち家前提で、家賃負担は大きくない想定
- 老後開始まで20年
- 老後の取り崩し期間は30年
- 積立期間中の想定利回りは年4%
- 取り崩し期間中の想定利回りも年4%
- 生活費は毎年2%のインフレを考慮
- 年金は毎年1.8%で増える前提(インフレ率2%-0.2%)
- 老後は毎月一定額を取り崩し、30年後に資産が0円になる前提で試算
なお、この記事では、いわゆる「4%ルール」のように単純に年間支出を4%で割る方法ではなく、
取り崩し期間と運用利回りを考慮して、老後開始時点で必要な資産を逆算する方法を使います。
そのため、老後に必要な金額を、より実際の資産計画に近い形で考えることができます。
まず結論を比較
今回のモデルをまとめると、次のようになります。
| 項目 | 節約生活モデル (運用あり) | 節約生活モデル (運用なし) |
|---|---|---|
| 毎月の生活費 | 37.1万円 (インフレ考慮前:25万円) | 56.5万円/月 (インフレ考慮前:38万円) |
| 年金額 | 29万円 (インフレ考慮前:20.3万円) | 29万円/月 (インフレ考慮前:20.3万円) |
| 毎月の不足額 | 8.1万円 | 27.5万円 |
| 取り崩し期間 | 30年 | 30年 |
| 取り崩し開始時に必要な資産額 | 1,706万円 | 2,932万円 |
| 現在資産額 | 330万円 | 330万円 |
| 運用利回り | 年4% | 年0% |
| 現在資産の将来価値 | 約723万円 | 330万円 |
| 毎月の積立額 | 約2.7万円 | 約10.8万円 |
上記はあくまで一例です。あなたの場合はいくら?
ここで大事なのは、
「老後に必要な資産」は、生活費と年金の差だけでなく、取り崩し期間と老後の運用条件でも大きく変わるということです。
運用をしない場合、毎月約10.8万円の積立が必要になりますが、運用を前提にすると約2.7万円まで下げることができます。
この差を生むのが「長期投資」です。
長期投資をするのであれば、約20%の税金がかからない新NISAが最適解です。
まだ、NISAを始めていない方は、まずは証券会社に口座を開設することからはじめましょう!
① 老後の生活費を決める
まずは、老後に必要な生活費を決めます。
今回はゆとりのある老後生活を想定して、
月25万円としています。もし毎年2%の物価高になった場合、20年後は37.1万円(=25万円×(1.02)^20)必要になります。
※日本の長期インフレ目標は2%(日銀)
👉 この金額は人によって大きく変わるため、
まずは自分の理想の生活費を把握することが重要です。
② 年金額を引く
次に、年金でどれくらい賄えるかを考えます。
今回は夫婦のモデルとして、次の前提にします。
年金額は、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にしています。
平均受給額は、
・厚生年金(会社員):約14.7万円/月
・国民年金(基礎年金):約5.6万円/月
※いずれも2023年度時点の平均値
合計では月20.3万円とします。
年金も将来改定される可能性はありますが、物価上昇率とまったく同じペースで増えるとは限りません。
そこで今回は、物価上昇率2%に対して、年金は年1.8%で増える前提で試算します。
20.3万円 × (1.018)^20 ≒ 約29万円/月
つまり、老後開始時点の想定年金額は
約29万円/月です。
③ 不足分を計算する
生活費と年金の差が、老後に自分で用意する必要がある金額です。
37.1万円 − 29万円 = 8.1万円
したがって、老後開始時点では毎月、
約8.1万円
を資産から補う必要があります。
年間にすると、
8.1万円 × 12ヶ月 =97.2万円
です。
つまり、老後は毎年約97万円を、年金以外の資産から取り崩していくイメージになります。
④ 必要資産を計算する
ここがいちばん重要です。
老後資金を考えるとき、よく
「年間不足額 ÷ 4% = 必要資産」
という計算が使われます。
もちろん目安としては分かりやすいのですが、この方法では
- 何年間取り崩すのか
- 老後も運用を続けるのか
- 何年で資産を使い切る想定なのか
- 4%ルールは「永続」前提
といった条件が反映されません。
そこで今回は、
毎月8.1万円を30年間取り崩しながら、資産を年4%で運用し、「30年で資産がゼロ」
という前提で、老後開始時点に必要な資産を逆算します。
その結果、
取り崩し開始時に必要な資産は 約1,700万円
となります。
※年4%で運用しながら、毎年約330万円を30年間取り崩す「年金現価(取り崩し計算)」で逆算すると、この金額になります。
つまり今回の条件では、老後開始時点で約1,700万円あれば、
毎月8.1万円を30年間取り崩して、最終的に資産がほぼ0円になる計算です。
⑤ 現在資産を含めて考える
次に、今持っている資産を考慮します。
今回は、現在資産を330万円とします。
これを今後20年間、年4%で運用すると、
約723万円
になります。
つまり、老後開始時点で必要な1,706万円のうち、
すでに現在資産の将来価値として723万円分は見込めることになります。
差額は、
1,706万円 − 723万円 = 約983万円
です。
この不足分を、今後20年間の積立で準備していくイメージになります。
⑥ 毎月いくら積み立てればいいか
では、この不足分を20年間で作るには、毎月いくら積み立てればよいのでしょうか。
今回の前提では、
- 現在資産:330万円
- 積立期間:20年
- 積立期間中の利回り:年4%
- 老後開始時に必要な資産:約1,700万円
として計算すると、
毎月の積立額は 約2.7万円
となります。
つまり、現在330万円の資産があり、それを年4%で運用しながら、さらに毎月約2.7万円を20年間積み立てることで、老後開始時点で約1,700万円を目指せる計算です。
まとめ
今回の試算をまとめると、次のようになります。
- 老後開始時点で必要な資産は 約1,700万円
- 老後の必要資産は、生活費と年金の差だけでなく、取り崩し期間 と 老後の運用利回り で変わる
- 現在資産330万円がある場合、その将来価値は約723万円
- 残りを20年間で準備するには、毎月約2.7万円 の積立が必要
老後資金を考えるときは、「老後にいくら必要か」だけでなく、
何歳から何年間使うのか、老後もどの程度運用するのか まで含めて考えることが大切です。
まずは自分の生活費をベースに、
「自分の場合はいくら必要なのか」
を下記のシミュレーターで計算してみてください。
老後資産シミュレーター
現在の生活費、年金額、現在資産、積立年数、取り崩し期間、インフレ率、積立期間の想定利回り、取り崩し期間の想定利回りを入力すると、老後開始時に必要な資産額と、毎月の積立額を試算できます。
※生活費は積立期間中のみインフレ反映して、取り崩し開始時点の金額を基準に計算しています。
※年金は入力した「年金増額年率」で調整しています。
※取り崩し期間中は、毎月一定額を取り崩し、最終的に資産が0円になる前提です。




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